『ノベルアクト1』収録「おふろ、かして」感想

嫌がらせのように一部の大手書店にしか置いていないという状況の中、なんとか本日入手。『荻浦嬢瑠璃は敗北しない』の時にも同じような状況を味わったので、角川書店の文芸書方面への印象が更に悪くなりましたが。それはさておき読了したので感想をネタバレしない程度に。

まず、カラーページの見出しからして既に、

――好きな人の家のお風呂に入らないと、この世界は滅ぶ。

……あー、なんといいますか。シチュエーションに畸形的な設定を付け加えて歪にするパターンなのかしら、という。既視感を感じるのは気のせいでしょうか。シチュエーションとその心理描写は中々楽しくて、これが物語の中で上手く機能していればと思ったのですがいかんせんシチュエーションだけで話が終わってしまうのは残念。そして驚愕のラスト。正確には最終行の横にある定型的な一文。マジで? 個人的には勘弁してほしい。ここ最近だと「たまねぎ現象には理由がある」が大傑作だっただけに、どうしても比べてしまうのがなー。時が経てば良い方向へ評価が変わりますように。


買うのを阻害するだけなのもどうかと思うので、見所を幾つか。
まず、あの属性が久々に復活してます! もっと遠くへ! それと小説の著者全員にプロフィールとは別に質問コーナーが用意されています。ある意味相変わらずかもしれませんが。

『ノベルアクト2』は2011年春頃発売予定とのことで。次回も元長柾木の小説は掲載されるようです。個人的には『植物図鑑』のイラストレーターとのコンビで有川浩の新作が掲載されることに期待。『コミック新現実』よりは売れるだろうと思いますが、もっともっと売れて欲しい雑誌ではあります。じゃないと色々な人が不幸になるよこれ。

次は十文字青の短編を読もうかしら。